呼応(コンコード)

英語にも「呼応(concords)」という文法があります。またの名を「一致(agreement)」とも言います。例えば、「述語動詞は主語の人称と数に呼応する」、主語が複数の場合は、動詞も複数形、主語が単数の場合は動詞も単数形と言うかたちで主語につられて動詞が変化する、この現象を呼応と言います。

シンプルなツワナ語の文法は英語とだいたい同じです。

上記の文章は単数複数はあるものの、主語に代名詞(I,You,They)を使っています。ところが、主語を名詞にした場合に独特な呼応文法が発生します。例えば、「O ja dijo」の「O(あなた)」を「Ntswa(ンチャ:犬)」という名詞に変えてみます。

おやおや、「Ntswa(犬)」と「ja(食べる)」の間に奇妙な「e(エ)」が入ってます。この「e」が呼応(コンコード)によって生まれる文字です。この名詞動詞の間に入る文字を「Subject Marker(SM)」と呼びます。この「e」は「Ntswa」という名詞の場合において「e」であって、他の名詞の場合は別の文字が入ります。例えば「Dikgomo(ディコーモ、牛の複数形)」の場合はどうでしょう。

Dikgomoの場合は「di」になっていますね。このように名詞によって入るSubject Markerは決まっています。この決まり方は名詞クラスという名詞のカテゴリによって決まるのです。